空海の構想―もう一つの人間の大地―
Ⅰ構想の源流-紀元前、荘子とブッダの説いた人間論
(1)混沌(コントン)王の死
南海の(とある地方に、世界を識
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空海の構想
Ⅱ空海の構想
(1)知力の発見
ブッダはヒトの意識の本質を見極めた。そして、世界を識別することを方便として、自在に操り、意
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空の知恵の輪―ブッダとナーガールジュナと空海
はじめに:弘法大師空海は、その主著となる『十住心論』の第七住心において、「一切は空
である」との論理を説いておられる。その論理の大本は、ナー
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空海「総合学」の視点
今から一千年以前に、満天の星の下、高野の山の自然道場"金剛峯寺"において、空海が多くの弟子たちと共に願った「自然という生命圏の原理の永遠性
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空海「高野山万燈会の願文」-今日からの読み解き
つつしんで聞く、 ヒトは、この世に生を受け、意識をもち、万物を識別し、それを言葉にし、世界観をもった。しかし、そのことによって、世界観を学
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東寺講堂二十一体の神仏に見る"生命圏"の構図
八二四年、東寺造営の長官に補任された空海は、その翌年に、「東寺講堂図帳」(今日でいう設計図面)を作成している。その講堂の中に、密教の説く、
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空海の悟り-生の欲求と昇華-
あらゆる生物は、生の根幹となる共通の生命活動によって生きている。それは、呼吸することによって生き、夜になると眠り、眠っているときも呼吸する
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言葉の空間力-"真言"についての一考察
■からだと空間 動物は手があればモノをつかみ(羽になった手で空を飛び)足で歩き、走り(魚はヒレで泳ぎ、ヘビはからだをくねらして進む)目でモノ
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いのちと自然の道理-空海とアイヌ-
はじめに:空海の祈り 空海の父親は佐伯の氏族であった。 佐伯は本来、6、7世紀頃、日本列島の中部地方以東、関東から東北地方一帯の自然と共に暮
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空海の言語論-『声字実相義』<現代語訳>
目 次Ⅰ 理念<いのちと自然の声を聞くための「言語」>Ⅱ 基礎理論<言語の構造> (イ)論題:「声」と「字」と「実
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空海の説法に見る「人間情報学」
問う。師は磨かれた玉のような知を得ながら、どうして、それを説法しないのですか。そうやって、ただ一人奥深い山にこもっておられることを、人々が
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勝道上人「日光登山記」と空海
自然と人間のこころの関わりについて空海は「そもそも、環境はこころにしたがって変わるものである。こころが汚れていれば環境は濁るし、その環境に
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空海の綴る"自然の道理とこころのあり方"
高山は(なぜか)風が起こりやすく深海は水を測ることがむつかしい。宇宙の果てを人々は知ろうとして見つけられず(いずれにしても)光の存在と人の知
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空海の教え-自然哲学からのもう一つの見方
1 自然の誕生 宇宙に生命が存在するのは地球に自然が誕生したおかげである。その自然のちからが生みだした海と陸と大気とそれらに満たされているエ
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空海の総合教育の試み-「綜藝種智院の式とその序」<現代語訳>
【学園用地】 さきに中納言の職を辞した藤原三守(ふじわらのただもり)卿は京都左京の九条に邸宅をもっておられ、その屋敷の広さは二町(約四千坪)
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十種の心象表現による教え-『十喩を詠ずる詩』空海文<現代語訳>
一、幻(まぼろし) 目の前に見えるものはみなまぼろし あらゆるものはみな仮のすがたであり その仮のすがたがこころの意識の闇にイメージとなって
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貯水池開発事業記-『大和の洲益田の池の碑銘並びに序』空海文<現代語訳>
そもそも、夜空に輝く五穀(稲・麦・粟・豆・ヒエ等)の実りを司る星座と 広大な銀河の流れの功徳によって、雨は地上に降りそそぎ 湖水と大海によ
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存在と言語-空海哲学と今日の視点-
Ⅰ 言語以前の世界 地球上の生物のほとんどはヒト科のような言語をもたなくても生活できている。 鳥やけものや昆虫、それに海のほ乳類は鳴き声を発
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マンダラの方舟
胎蔵マンダラと今日の視点 千二百年前、空海は当時の国際都市、唐の長安に渡り、ヒトのあらゆる知性と行動の根底を一つの場に収斂させる"かたち"を
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声のひびきと意味
空海は言語の人であった。その言語とは、存在の場のあらゆるひびきを感知し、そこに潜む意味を洞察し、新たなかたちと空間と作用を生み出すための創
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マンダラの方舟 2
金剛界マンダラと今日の視点「胎蔵マンダラ」が物質・生命・意識から成る世界を考察した"知"の包括的な図であるならば、「金剛界マンダラ」はその知
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存在と知
存在と知-マンダラの物理 千二百年前に、空海は五つの知の根本と、その根本の知のもつ四つの<ちから>と、それぞれのちからの<
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相対と絶対
相対と絶対-空海と荘子と湯川秀樹の知Ⅰ 二つの空(くう) ヒトは対象を観察し、言葉によって相対的に分別するが、その分別されたモノ・コトの存在
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生態学×空海密教
はじめに 梅棹忠夫/吉良竜夫編『生態学入門』の序説に 「人間とはどういうものか?人間を理解するのに、人間と自然とを対比してとりあつかうのも一
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空海の知(知の源流)
知の源流-日本列島と古代インドはじめに 知によってものごとを理解し、是非・善悪を識別することよりも、「知とは何か」が哲学の究極的な命題となる
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ブッダと空海-形而下の教え-
はじめに 紀元前五世紀頃、インドのガウタマ・シッダールタ(ブッダ:目覚めた人)によって、世界の三大宗教の一つである仏教が誕生した。 その教え
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『十住心論』新ダイジェスト
はじめに 空海の主著に『十住心論』がある。九世紀以前の人間思想を体系的に第一住心から第十住心の十段階にまとめたものであり、古代インドや中国
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『般若心経秘鍵』新ダイジェスト
1総論1-1序 (いのちの無垢なる知のはたらきを象徴する)文殊菩薩は、(生きとし生けるものすべてが等しく為すことのできる、生産と相互扶助の)
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『弁顕密ニ教論』新ダイジェスト
1 序論 ブッダの教えには二種類がある。一つは、人間ブッダ(目覚めた人)や普遍のちからを有する理想の人格像(如来)が、相手に応じて説く教え&
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『菩提心論』新ダイジェスト
立論-さとりの理念- 紀元前5世紀頃、インドのガウタマ・シッダールタ〔ブッダ〕が説いた「十二因縁」や「四諦」によると「あらゆる存在は因果関係
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『即身成仏義』新ダイジェスト
一、(自らのもつ、いのちの無垢なる知の目覚めを説く)八つ文章 問う。「諸経論によると、さとりを開くには長い修行が必要であると説いている。それ
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『雨を喜ぶ歌』
空海の社会詩 「雨を喜ぶ歌」 <現代語訳> 悲しいことよ、末世の民たち 耳目をふさぎ、聖人の言葉を聞こうともせず 無知という名の
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普遍の知とは何か-「胎蔵マンダラ」と今日
空海は悟りの証しとして、世界の実相を二種類の図にして示した。一つが人間の知の規範を説く「胎蔵マンダラ」であり、もう一つが、知そのもののはた
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知の住みかとは何か-現代語訳『大日経開題』<衆生狂迷本>
人びとは自らの知の真実の住みか(帰る家)を知らない。(だから、)戦争や災害による死・飢え・本能に狂い迷い沈みおぼれ、四種の生存形態、ほ乳類
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根本の知とは何か-「成身会」と今日
空海は、生命の無垢なる知が形成している世界を、その全体のすがた図と、その知のはたらきの原理図にして人びとに示した。 前者が「胎蔵マンダラ」
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真実の知とは何か-現代語訳『金剛頂経開題』(おおすじ/経題)
この『経』の講義は、三つに分けて説く。はじめがおおすじであり、つぎに経題について述べ、最後が経文の解釈である。 はじめにおおすじを述べる。
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知の法灯-『真言付法伝』
●第一高祖 法身(ほっしん)大日如来<生命のもつ無垢なる知のちからの輝き> 第一の高祖は(ブッダである。そのブッダのさとりを普遍
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空海の自然思想を読む
Ⅰ山岳修行 ある一人の修行者がいて、わたくしに「虚空蔵(こくうぞう)求聞持法(ぐもんじのほう)」を教えてくれた。その法を説く経によると「もし
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空海とホワイトヘッドの思想-七つの接点-
「九世を刹那に摂し、一念を多劫に舒(の)ぶ。一多相入し、理事相(あい)通ず」(過去・現在・未来を貫くあらゆる時間が一瞬間におさまっている
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空海の詩文に読む「生命の秩序」
Ⅰさとりと福祉此の法は即ち仏(ぶつ)の心(しん)国の鎮(ちん)なり。氛(ふん)をはらい祉(さいわ)いを招くの摩尼(まに)凡(ぼん)を脱(まぬ
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東寺仏像の意味-現世利益から生命のダイナミズムまで-
紀元前5世紀頃、インドのガウタマ・シッダールタ(ブッダ)によって、世界の三大宗教の一つである仏教が誕生した。 原初のブッダの教え(生きるこ
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密教の教え-空海著『十住心論』第十住心を読む
9世紀前半の淳和天皇の時代に、各宗にそれぞれの宗義を書いて差し出すように勅命があった。それに答え、空海(インド伝来の密教第八祖であり、真言
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もう一つの祈り-震災復興に向けて
Ⅰ東日本の原風景イ、古代 日本書紀によると、景行天皇はその在位中に北陸・東北地方に武内宿禰(たけうちのすくね)を派遣させて、その土地の地形や
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南方熊楠とマンダラ-万象の理解-
Ⅰ コスモポリタン「ミナカタ」の生涯■幼年期 南方熊楠(みなかたくまぐす)は明治維新の前年(1867年)に和歌山城下で金物商を営む家の次男と
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『吽字義』-実在の根源と字-
1 字と意味 『即身成仏義』『声字実相義』『吽字義』は、空海教学の「三部書」であるといわれている。 コトバ以前のこの身このままの存在を解き明
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井筒俊彦と空海-言語哲学の接点-
井筒俊彦(いづつ としひこ、1914-1993)は、文学博士、言語学者、イスラーム学者、東洋思想研究者。慶應義塾大学名誉教授。エラノス会議
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存在の実相とは何か-空海教学「三部書」から
はじめに 生きとし生けるものの活動は、身体(行動性)・言語(コミュニケーション性)・意思(精神性)の三つに集約されると空海はいう。 生きとし
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空海の『理趣経』講話-恩と愛から-
施主のために『理趣(りしゅ)経』の教えを説く。 そもそも人間の一生という河は、恩愛によって深くて広い。 さとりという名の山は、福徳(善行及
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空海の四恩の祈り-家族・国家・生態系・信仰
仏弟子であるわたくしは、ブッダ(目覚めた人)のもつ"無垢なる知のちから"の象徴である大日如来を信仰いたします。 そうして、その大日如来の無
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最澄宛、空海の返書-理趣の答案-
813年(弘仁4)11月23日付の手紙で、最澄は「理趣釈経一巻を来月中旬まで借覧したい」と空海に申し送ったが、このとき長文の返書をもって、
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菩提樹下の思想-果分可説の系譜-
人生になぜ苦があるのか、その苦はどうすれば克服できるのか、それらの課題を解決するためにブッダ(ガウタマ・シッダールタ:紀元前7~5世紀頃)
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空海若き日の哲学「三教指帰」
はじめに
空海はその生涯(774-835)において、数多くの著作を残した。
それらの著作によって、私たちは空海の思想を体系的に知
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『十住心論』第十住心を読み解く-両部マンダラの世界
はじめに
天長7年(830年)に、淳和天皇は各宗(俱舎宗・成実宗・三論宗・法相宗・律宗・華厳宗・天台宗・真言宗)にそれぞれの宗
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「綜藝種智院の開設と教育指針」現代語訳(改訂版)
学園用地
さきに中納言の職を辞した藤原三守(ふじわらのただもり)は京都左京の九条に邸宅をもっておられ、その土地
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空海と大地の教え
≪空海の祈り≫
空海の父親は佐伯の氏族であった。
佐伯の名は、7~8世紀頃、日本列島の中部地方以東、関東から東北地方
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日本初の言語学書『声字実相義』
はじめに
『声字実相義』は820年前後(平安時代初期)の空海の著作である。この書の前半部分で空海は古代インドの言語学
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密教の論拠『ニ教論』(訳文)
〈巻上〉
1序論
わたくし空海の考察したところによって、ブッダについて端的に説明すると、ブッダ(目覚めたもの)に
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般若心経秘鍵 ― 空海の『心経』注釈書(訳文)
1総論
1‐1序
序の詩文
文殊菩薩は(生きとし生けるものが無心に行なう創造と相互扶助による生の平等性という)知の
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『十住心論』の簡潔な論旨と趣意
はじめに
天長7年(830年)に、淳和天皇は各宗にそれぞれの宗義を書いて差し出すように勅命を下した。それに答えて真言宗の空
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心象の哲学-空海作『詠十喩詩』(訳文 2018.4改訂)
幻(まぼろし)
目の前の存在はみなまぼろし
それらの存在はたまたま縁あって合成されたすがたにすぎず
その仮のすがたが無知と
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空海の詩文を読む(その一)
想念で綴る大道-『遊山慕仙詩』(訳文 2018.5改訂)
高山は風が起こりやすく
深海の水量を測ることはむつかしく
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空海の詩文を読む(その二)
悟りの情景-『山中有何楽』(訳文)
山中に何の楽しみがあって
こんなに長くとどまり、帰ることを忘れてしまったのか
一冊
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空海の詩文を読む(その三)
「勝道上人日光開山記」と銘文-『沙門勝道歴山水瑩玄珠碑』(全訳)
<はじめに:環境と心について>
けがれのない静か
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空海の詩文を読む(その四)
水の思想 -『大和州益田池碑銘』(訳文2018.11改訂)
<はじめに:水の理念>
そもそも夜空に輝く五穀を司る星
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空海の詩文を読む(その五)
永久の願い -『高野山万燈会願文』(訳文2019.1改訂)
つつしんで聞く。
心の迷いの闇は、人生における苦のみな
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空海の詩文を読む(その六)
さとりの昇華―『為亡弟子智泉達嚫文』(訳文)
もろもろの原因・条件を離れると
存在する物事はあるがままである。
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空海の詩文を読む(その七)
恩師、勤操先生 『故贈僧正勤操大徳影讃』(訳文)
大きな舟は物を乗せて海を渡ることができ、
馬車は物を乗せて運ぶこ
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空海の詩文を読む(その八)
密教の師、恵果和尚伝『大唐神都青龍寺故恵果和尚之碑』(訳文)
(まえおき)
世間の人が大事にするのは五常(仁・義・礼・
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空海の詩文を読む(その九)
マンダラの知と実践『奉為四恩造二部大曼荼羅願文』(訳文)
仏教の修行僧わたくし空海は、金剛界と胎蔵の両部マンダラを敬い信
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金剛界マンダラ-知の九つの領域-
金剛界マンダラは方形を井桁(いげた)に区切った九つの区画の中に、生きとし生けるものがもつ知の原理をテーマ毎に図示したもの
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胎蔵マンダラ-知の方舟-
はじめに 知の本質
生物は体内に摂取した空気と栄養分によって、その身体を維持する物質とエネルギーを自ら生産して生きて
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生命と知の規範『金剛頂経』
はじめに
1、今日の生命観
生きとし生けるものは細胞を基本単位として形成されている。
その細胞の中には核があり、
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空海釈『金剛頂瑜伽十八会指帰』抄
はじめに
空海はその著作『金剛頂経開題』の中で、留学先の唐から持ち帰った不空訳『金剛頂瑜伽十八会指帰』の概略を注釈
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空海と永遠の仏法
はじめに-空(くう)の論理
紀元前5世紀頃、人生における生老病死の苦を克服しようと出家したインドのガウタマ・シッ
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