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金剛手院
1.発生金剛部菩薩

[読み] ほっしょうこんごうぶぼさつ
[梵名] ヴァジュラクロードバヴァボーディサットヴァ
[梵名表記] vajrakulodbhavabodhisattva
※以下ボーディサットヴァは略す

●梵名ヴァジュラ・クラ・ウッドバヴァは、「金剛部の(諸尊の)出生(を司る者)」の意。
●金剛部の諸尊を金剛手院に生み出す菩薩。

2.金剛鉤女菩薩

[読み] こんごうこうにょぼさつ
[梵名] ヴァジュラーンクシー
[梵名表記] vajrāṅkuśī

●梵名ヴァジュラ・アンクシーは、「堅固な鉤(物を引っかけ取るための先の曲がった金属製のカギ)(をもつ者)」の意。
●金剛薩埵の智慧に衆生を引き寄せ導く妃菩薩。

3.金剛手持金剛菩薩

[読み] こんごうしゅじこんごうぼさつ
[梵名] ヴァジュラハスタヴァジュラダラ
[梵名表記] vajrahastavajradhara

●梵名ヴァジュラ・ハスタ・ヴァジュラ・ダラは、「堅固なる手に金剛杵をもつ(者)」の意。
●金剛薩埵の智慧を生むべき部母の役割をもつ菩薩。

4.金剛薩埵(菩薩)

[読み] こんごうさった(ぼさつ)
[梵名] ヴァジュラサットヴァ
[梵名表記] vajrasattva

●梵名ヴァジュラ・サットヴァは、「金剛杵(堅固なる菩提心)をもつ衆生」の意。
●私たち(衆生)の本有菩提心を象徴する菩薩。
●金剛薩埵は、大日如来が諸尊のサトリの総体なのに対し、私たち(衆生)の妄執の総体でありながら、本有菩提心を起させる役割をもつ。
●また、衆生の代表として大日如来から説法を聞く立場と、法身大日の説法を衆生に伝える仲介の仏の立場を兼ねる。
●従って、真言付法の第二祖に位置する。
●この院の主尊。

5.持金剛鋒菩薩

[読み] じこんごうほうぼさつ
[梵名] ヴァジュラーグラダリー
[梵名表記] vajrāgradharī

●梵名ヴァジュラ・アグラ・ダリーは、「堅固なる切っ先をもつ(妃)」の意。
●堅固な智慧(仏智)の切っ先(独鈷杵)で鋭く煩悩を貫き破る妃菩薩。

6.金剛拳菩薩

[読み] こんごうけんぼさつ
[梵名] ヴァジュラムシュティ
[梵名表記] vajramuṣṭi

●梵名ヴァジュラ・ムシュティは、「堅固な拳(をもつ者)」の意。
●堅固なる拳で衆生の貪・瞋・痴(三毒)の緊縛を破る菩薩。

7.忿怒月黶菩薩

[読み] ふんぬがってんぼさつ
[梵名] クローダチャンドラティラカ
[梵名表記] krodhacandratilaka

●梵名クローダ・チャンドラ・ティラカは、「忿怒の形相の月の黶(ほくろ=仏の額の白毫・第3の目)をもつ者」の意。
●忿怒の形相(慈悲の表れ)に、白浄菩提心(月)の黶(ほくろ)をもって煩悩を断つ菩薩(教令輪身)、降三世明王の菩薩形。

8.虚空無垢持金剛菩薩

[読み] こくうむくじこんごうぼさつ
[梵名] ガガナーマラヴァジュラダラ
[梵名表記] gaganāmalavajradhara

●梵名ガガナ・アマラ・ヴァジュラ・ダラは、「虚空のように無垢な金剛杵をもつ者」の意。
●虚空のように(自性)清浄にして堅固な菩提心をもつ菩薩。

9.金剛牢持菩薩

[読み] こんごうろうじぼさつ
[梵名] シヴァヴァジュラダラ
[梵名表記] śivavajradhara

●梵名シヴァ・ヴァジュラ・ダラは、「堅牢な金剛杵をもつ者」の意。
●衆生を固守する堅固な菩提心をもつ菩薩。

10.忿怒持金剛菩薩

[読み] ふんぬじこんごうぼさつ
[梵名] ヴァジュラーグラヴァジュラダラ
[梵名表記] vajrāgravajradhara

●梵名ヴァジュラ・アグラ・ヴァジュラ・ダラは、「堅固な切っ先の金剛杵をもつ者」の意。
●堅固な智慧(仏智)の切っ先(三鈷杵)で鋭く煩悩を貫き破る菩薩。

11.虚空無辺超越菩薩

[読み] こくうむへんちょうおつぼさつ
[梵名] ガガナーナンタヴィクラマ
[梵名表記] gaganānantavikrama

●梵名ガガナ・アナンタ・ヴィクラマは、「虚空のように極みなく遊歩する者」の意。
●虚空のように広大無辺な仏智(空智)をもち遊歩する菩薩。

12.金剛鏁菩薩

[読み] こんごうさぼさつ
[梵名] ヴァジュラシュリンカラー
[梵名表記] vajraśṛṅkalā

●梵名ヴァジュラ・シュリンカラーは、「堅固な鎖(をもつ者)」の意。
●堅固な鎖で導きがたい衆生をつなぎ止める菩薩。

13.金剛持菩薩

[読み] こんごうじぼさつ
[梵名] ヴァジュラダラ
[梵名表記] vajradhara

●梵名ヴァジュラ・ダラは、「金剛杵をもつ者」の意。
●堅固なる三昧に住し、仏智を固く保つ菩薩。

14.持金剛利菩薩

[読み] じこんごうりぼさつ
[梵名] ヴァジュラーグラダラカ
[梵名表記] vajrāgradharaka

●梵名ヴァジュラ・アグラ・ダラカは、「堅固な切っ先をもつ者」の意。
●仏智を鋭利に持する菩薩。

15.金剛輪持(金剛)菩薩

[読み] こんごうりんじ(こんごう)ぼさつ
[梵名] チャクラヴァジュラ(ヴァジュラ)ダラ
[梵名表記] cakravajra(vajra)dhara

●梵名チャクラ・ヴァジュラ・(ヴァジュラ)ダラは、「堅固な輪宝をもつ者」の意。
●鋭い刃をもつ輪宝(武器から転じた法具)を回し(仏智の転輪)、諸魔・外道を打ち砕く菩薩。

16.金剛説菩薩

[読み] こんごうせつぼさつ
[梵名] ヴァジュラヴィクヤータ
[梵名表記] vajravikhyāta

●梵名ヴァジュラ・ヴィクヤータは、「堅固な名声(または名称)をもつ者」「堅固な説をもつ(説く)者」の意。
●確かな名声のもと仏智を説いて衆生を導く菩薩。

17.懌悦持金剛菩薩

[読み] ちゃくえつじこんごうぼさつ
[梵名] スラタヴァジュラダラ
[梵名表記] suratavajradhara

●梵名スラタ・ヴァジュラ・ダラは、「堅固な悦楽をもつ者」の意。
●堅固なる仏智に住するを喜びとする菩薩。

18.金剛牙菩薩

[読み] こんごうげぼさつ
[梵名] ヴァジュラダンシュトラ
[梵名表記] vajradaṃṣṭra

●梵名ヴァジュラ・ダンシュトラは、「堅固な牙をもつ者」の意。
●堅固な牙で諸魔を挫き、済度の難しい衆生をも救う菩薩。
●『理趣経』などにいう摧一切摩菩薩に同じ。

19.離戯論菩薩

[読み] りけろんぼさつ
[梵名] ニシュプラパンチャヴィハーリ
[梵名表記] niṣprapañcavihāri

●梵名ニシュプラパンチャ・ヴィハーリは、「迷妄の考え(あるいは議論=戯論)から離れていることに住する者」の意。
●仏智に叶わない迷妄の考え(あるいは議論)を離れ(仏智に)住する菩薩。

20.持妙金剛菩薩

[読み] じみょうこんごうぼさつ
[梵名] スヴァジュラダラ
[梵名表記] suvajradhara

●梵名ス・ヴァジュラ・ダラは、「最上の金剛杵をもつ者」の意。
●この上ない、微細・微妙の、仏智のあらゆる功徳を有する菩薩。

21.大輪金剛菩薩

[読み] だいりんこんごうぼさつ
[梵名] マハーチャクラヴァジュラダラ
[梵名表記] mahācakravajradhara

●梵名マハー・チャクラ・ヴァジュラ・ダラは、「堅固な大輪宝をもつ者」「堅固な曼荼羅を持する者」の意。
●鋭い刃をもつ大輪宝をまわし(仏智の転輪)、諸魔・外道を打ち砕く菩薩、あるいは曼荼羅の諸尊の観誦をよく成就する菩薩。
●持金剛利菩薩、金剛輪持菩薩、あるいは大輪明王、曼荼羅菩薩、また『理趣経』の転法輪菩薩と同体という、弥勒菩薩の教令輪身。

22.金剛使者(侍女)

[読み] こんごうししゃ(じじょ)
[梵名] ヴァジュラチェーティー
[梵名表記] vajraceṭī

●梵名ヴァジュラ・チェーティーは、「金剛部の侍女」の意。
●金剛部の尊に奉仕する女。

23.金剛軍咤利

[読み] こんごうぐんだり
[梵名] ヴァジュラクンダリー
[梵名表記] vajrakuṇḍalī

●梵名ヴァジュラ・クンダリーは、「堅固なとぐろ巻く蛇(性力)(を臍下に持する者)」「甘露の入った堅牢な水瓶(をもつ者)」の意。
●性力(シャクティ)あるいは不死の妙薬をもつ尊。
●金剛部の尊に奉仕する供養尊、軍荼利明王の菩薩形。

24.金剛使者(侍女)

[読み] こんごうししゃ(じじょ)
[梵名] ヴァジュラチェーティー
[梵名表記] vajraceṭī

●梵名ヴァジュラ・チェーティーは、「金剛部の侍女」の意。
●金剛部の尊に奉仕する女。

25.金剛使者(侍女)

[読み] こんごうししゃ(じじょ)
[梵名] ヴァジュラチェーティー
[梵名表記] vajraceṭī

●梵名ヴァジュラ・チェーティーは、「金剛部の侍女」の意。
●金剛部の尊に奉仕する女。

26.大力金剛

[読み] だいりきこんごう
[梵名] マハーバラ
[梵名表記] mahābala

●梵名マハー・バラは、「大いなる力(をもつ者)」の意。
●大いなる力をもって無明を破り、衆生を密教へと引き入れる尊。
●金剛部の尊に奉仕する供養尊。

27.金剛鉤女菩薩

[読み] こんごうこうにょぼさつ
[梵名] ヴァジュラーンクシー
[梵名表記] vajrāṅkuśī

●梵名ヴァジュラ・アンクシーは、「堅固な鉤(物を引っかけ取るための先の曲がった金属製のカギ)(をもつ者)」の意。
●金剛薩埵の智慧に衆生を引き寄せ導く妃菩薩。

28.孫婆菩薩

[読み] そんばぼさつ
[梵名] シュンバ
[梵名表記] śumba

●梵名シュンバは、仏教に取り入れられたヒンドゥーの神アスラの兄弟のシュンバ・二シュンバのうちのシュンバ、音訳で孫婆。
●シュンバ(孫婆)・二シュンバ(爾孫婆)の兄弟は、ともに降三世明王と勝三世明王の本体とされる。
●ここでは金剛部の尊に奉仕する供養菩薩。

29.金剛使者(侍女)

[読み] こんごうししゃ(じじょ)
[梵名] ヴァジュラチェーティー
[梵名表記] vajraceṭī

●梵名ヴァジュラ・チェーティーは、「金剛部の侍女」の意。
●金剛部の尊に奉仕する女。

30.金剛拳菩薩

[読み] こんごうけんぼさつ
[梵名] ヴァジュラムシュティ
[梵名表記] vajramuṣṭi

●梵名ヴァジュラ・ムシュティは、「堅固な拳(をもつ者)」の意。
●堅固なる拳で衆生の貪・瞋・痴(三毒)の緊縛を破る菩薩。

31.金剛童子

[読み] こんごうどうじ
[梵名] ヴァジュラクマーラ
[梵名表記] vajrakumāra

●梵名ヴァジュラ・クマーラは、「金剛部の童子」の意。
●金剛部の尊に奉仕する童子(従者)。

32.金剛王菩薩

[読み] こんごうおうぼさつ
[梵名] ヴァジュララージャ
[梵名表記] vajrarāja

●梵名ヴァジュラ・ラージャは、「金剛部の王」の意。
●金剛薩埵の異名、ここでは金剛部の尊に奉仕する菩薩。