[読み] だいにちにょらい
[梵名] マハーヴァイローチャナ・タターガタ
[梵名表記] mahāvairocanatathāgata
※以下タターガタは略す
●梵名マハー・ヴァイローチャナは、「すぐれて(法界に)あまねく(仏智の)光明を照らす者」の意、音訳して摩訶毘盧遮那(マカビルシャナ)、太陽(神)のイメージ。
●胎蔵曼荼羅の主尊、手に法界定印を結ぶ。
●宇宙(法界=空性・縁起生の世界=サトリの世界)そのものをその身体とし、宇宙のすべての存在や事象(一切法)に摂理・真理(真如・法如)として遍在する「理法身(りほっしん)」。
●密教の根本最上の如来、曼荼羅諸尊出生の本源であり、また諸尊の帰すべき本初。
[読み] ほうどうにょらい
[梵名] ラトナケートゥ
[梵名表記] ratnaketu
●梵名ラトナ・ケートゥは、「如意宝珠の旗印(をもつ者)」の意。
●密教では、私たち(衆生)が本来的に有している菩提心を如意宝珠で表す。
●仏道修行の根本である菩提心(発菩提心)を旗印とし、その旗(幢)によって諸魔(修行を妨げる煩悩や迷妄)を退ける如来。
●菩提心は、修行の前提となる心位なので方位の初めの東方に位置する。
●結んだ与願印(よがんいん)は、大慈悲をもって衆生の願いをかなえる仏意を表す。
[読み] かいふけおうにょらい
[梵名] サンクスミタラージャ
[梵名表記] saṃkusumitarāja
●梵名サンクスミタ・ラージャは、「開花した蓮の花の王」の意。
●修行の努力によって、蓮の花が開くように菩提心が開花(開転)し、大悲利他の心を起すことを表す如来。
●修行(大悲行)は、発心に次ぐプロセスなので南方に位置する。
●結んだ施無畏印(せむいいん)は、衆生が仏教に帰依することに「畏れなくていい」と励ます仏意を表す。
[読み] むりょうじゅにょらい
[梵名] アミターユス(アミターバ)
[梵名表記] amitāyus(amitābha)
●梵名アミタ・アーユス、アミタ・アーバは、「(時間・空間を超えて)尽きることのない寿命(ある者)」「尽きることない光輝(ある者)」の意、別称に音訳の阿弥陀如来、無量光如来がある。
●修行の結果サトリを得、尽きることのない(仏智の)光明が、開花した菩提心より発して西方の世界を照らす如来。
●菩提(サトリ)は、修行に次ぐプロセスなので西方に位置する。
●結んだ弥陀定印は、深い瞑想(禅定)に入りサトリに達する仏意を表す。
[読み] てんくらいおんにょらい
[梵名] ディブヤドンドビメーガニルゴーシャ
[梵名表記] divyadundubhimeghanirghoṣa
●梵名ディブヤ・ドゥンドビ・メーガ・ニルゴーシャは、「(忉利天の善法堂にある)天鼓が響かせる雷鳴のような音(をもつ者)」の意。
●菩提(サトリ)の妙果として涅槃に至り、(忉利天善法堂の)天鼓の雷鳴のような音が人の心に響くように、涅槃の境地を告げて衆生を啓発し導く如来。
●涅槃は、菩提に次ぐ修行のプロセスなので北方に位置する。
●結んだ触地印(=降魔印)は、修行をさまたげる諸魔を退ける仏意を表す。
[読み] ふげんぼさつ
[梵名] サマンタバドラ
[梵名表記] samantabhadra
●梵名サマンタ・バドラは、「あまねき方面における(慈悲と智慧を顕わして衆生を救う)賢者」の意。
●菩提心を象徴することから、しばしば金剛薩埵と同一視され、金剛薩埵の別称である金剛手菩薩ともいわれる。
●世間にあまねく現れ、あるいはあまねきことについて、慈悲と智慧によって衆生を救う賢者という意味の菩薩。
[読み] もんじゅぼさつ
[梵名] マンジュシュリー
[梵名表記] mañjuśrī
●梵名マンジュ・シュリーは、「美妙なる吉相(または妙なる福徳)(をもつ者)」の意。
●大いなる智慧(仏智=空)をもつ、妙徳・妙吉祥という意味の菩薩。
●普賢菩薩とともに釈尊の脇侍、大乗仏教の代表的な智慧第一の尊。
●般若の智慧をその本性とする、智慧を象徴する菩薩、菩提の母ともいわれる。
●善財童子ほか四侍者あり、八大童子あり。
[読み] かんじざいぼさつ
[梵名] アヴァローキテーシュヴァラ
[梵名表記] avalokiteśvara
●梵名アヴァローキタ・イーシュヴァラは、「(諸法を)観じることが自在の者」の意。
●慈悲(衆生の救済)を象徴する菩薩、観世音菩薩(観音さま)と別称される。
●娑婆世間をよくよく観察して、衆生を救済すること自在という意味の尊。
[読み] みろくぼさつ
[梵名] マイトレーヤ
[梵名表記] maitreya
●梵名マイトレーヤは、「情け深い・慈悲心ある者」の意。
●未来救済の慈悲の菩薩、梵名から慈氏菩薩ともいわれる。
●空海は、若い頃に山林修行者の間にあった弥勒信仰を知り、弥勒を念持仏のようにした、母が滞留したという高野山下の慈尊院(本尊弥勒菩薩)もその表れであり、入定直前の「御遺告」で兜率天内院の弥勒のもとに上生することも告げている。