- プロローグ
- <松岡正剛さん>
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・今、日本混迷。そろそろパキスタンあたりに自衛隊。ゆがみ、経済不況。
・アメリカ、再び戦争をおこそうとしている。世界史、戦争の歴史である。
21世紀どういう戦争をすればいいか。
・そんな中で密教を語るのは難しい。五感使う。「密教的なもの」何か?
・今回のタイトル『五大にみな響きあり』 五大=地水火風空 「真実の言葉」五大にみな満ち溢れている。
・『母なる空海』→奇妙な言葉(空海は男性なので)
以前、毎日新聞のリレーエッセイ、冒頭(一番初めの書き手)頼まれた。「これからの日本について書いてくれ」
そこで「分母の時代へ」ということを書いた。今、分子が満ち溢れている。ユニクロ、マツモトキヨシ...見られる色、モノ全て見せましょう。世界は全て母なるものから生れた。「分母」をもう一度考えるといい。 - 第1部 ゲスト ソロトーク
ゲスト松長有慶高野山大学元学長
<密教学者・高野山大学名誉教授 松長有慶さん> -
・曼荼羅
・命はみなつながっている。動物、植物も一体化。
・物と心はひとつ。
・自分ひとりで生きているのではない。
・密教→多面的な価値観
現在あるものの中に多元的な価値。「ものの価値に気がつく時代」 自分の目を信用。
・弘法大師(母なる空海)すべてのものを抱きとってくれる。
・人の悪口はいいやすい、ほめるのは大変。
マンダラ 全体で一つの調和
・いいか悪いか見つけ出す(自分の生きざま)→あらわしているのが曼荼羅
・胎蔵界曼荼羅 よくみたらいろいろなインドの神様のほかにオバケ、精霊など
◎密教のものの考え→排除するものはない。全部抱き込む。それぞれの持ち味を発揮してもらえばいい。
・曼荼羅 全体でひとつの調和、コスモス→生きていくための大事な智慧 完全なのは真ん中の大日如来だけ。
・現代社会の中では自分自身の体を使わないと。
・エゴをはなれる、行動力によって実現していく。
・新しい価値観。"宇宙の声"皮膚感覚でうけとる。 - <松岡正剛さん>
- ・先だって古今亭志ん朝さん亡くなった。残念。。。
・値打ち、価値→今、"価格"になってしまっている。 - <仏画師 牧宥恵さん>
- ・稲垣足穂に「男は空海にぶち当たらないとダメだ」と言われた
- 【話の途中、ビデオで作品の映像、カットで紹介】「愛染明王」、「飯綱権現」、「無畏十刀吼」など
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・神護寺の曼荼羅、一度みるといい
ぶれずにスイングする
・仏画はその風土に根づく。
・上から俯瞰する。宮崎駿監督のアニメ、そういうシーン多い。
・ 内観 ミクロを追求すること
・密教 なんでもしていい。でも、何をおさえるかハッキリしておくことが大切 - <松岡正剛さん>
- ・スイングする密教、いいですね〜。
- <編集工学研究所 太田さん、高橋さん>
- 空海デジタルアーカイブ「SHINGON Canalizer The KUKAI」 映像で説明
・map→spot→object 3つのレイヤー
map 生涯/思想/修法/伝法/人脈
spot 時の車/カーソルナビゲーション
object 転位/系類/象徴/由来/対照/造作
・Canalizer 奥へ、奥へ、運河をつくるように
・大日経 人間の精神、上昇するもの
・鋭意製作中! - <松岡正剛さん>
- ・ゲスト 写真家・作家 藤原新也さん、交通事故、ろっ骨骨折 聖路加病院へ
- 【ビデオ】ベッドに横たわる藤原さん、見舞う松岡さんの映像
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雑談
<藤>あぁいう一瞬、冷静になる。うづくまっていた。次の車着たらまずい。
彼(藤原さんをひいた人)、おどおどしている。
指示して彼を誘導していて...その風景なかなかいい。
<松>カメラ撮りたかった?
<藤>彼岸と此岸の組み合わせみたい。物としてみている。人がはねられた、そういうふうな形の視点... - 【舞台】<松岡正剛さん>
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・藤原さんとは同じ年
・『全東洋街道』 彼がすごい写真撮って帰ってきた。写真界無視。「先駆者」まわりにはその"値打ち"がみえない。カメラ毎日のヤマギシショウジという編集長(最後首をつって死んだ、ラディカルな人だった)
「松岡さんだったら藤原さんと話せるんではないか」以来、親友。
・だいたいこういうところでしゃべらない人。だから本人も楽しみにしていた。
このあと、17日からインド、パキスタン、アフガンへ行く予定だった。おそらくそれも無理。 - 【再びビデオ】ベッドに横たわる藤原さん、見舞う松岡さんの映像
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<藤>(前回行ったのは)ちょうどアメリカ大使館が占領された頃だった。
もういっぺん考えようと思っていた。
今回ばっかりは...アフガニスタン...行きたい。
<松>仏教も、イスラム教も、宗教の姿、呪術的な力ないまま。
ジハードマニュアルといわれている3冊の本、ほとんどインターネットから組み合わせている。
<藤>25年前、今からアメリカ文明に対抗できるのは、イスラム文明でないかと考えていた。
砂漠→疎 インド→密
<松>疎・密...あるよね。人間にも空海にも。
<藤>◎イスラムの場合、「疎」から「密」をつくっていかなければならない。
そういう意味では抽象的な力をもっている。
アメリカは物に頼って支配。僕らはそういうものになじみやすい。
(だから)アメリカに対抗できるのは--。
<松>くってそまるやつと、くってもそまらないやつがいる
<藤>コカコーラ。カブールへ行くと「カブールコーラ」ってある。文字も全く同じ。飲むと違う。
便所の中でも通路でも、時間がきたら「祈り」 バッと変えられる。 - 【舞台】<松岡正剛さん>
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◎峨々たる岩石の国。心の中に様々な規矩、目盛りをつくらなければいけない。外にそういうものがない。
・我々、全ての目盛り、ユニクロやコカコーラが用意してくれている。
→イスラム(の場合は) 神、アラーの中に アメリカ⇔イスラム ものすごいズレがある
◎藤原新也さんからのメッセージ。事故の話のようでいて、本質をつかんでいる。
何も痛そうにしていないけど、ものすごく痛い。 - 【ビデオ】<藤原新也さん>
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・こういうみっともない姿さらして申し訳ない。頭はハッキリしているけど、体 動かない。
2日前、車にはねられ、ろっ骨5本折って、小指の腱3本切って、全身打撲。大きな息するとかなり苦しい。
先生に「(密教フォーラムに)出たい」といったが、内臓検査はっきりしないと× ビデオでの挨拶となった。
・今回、松岡さんと、密教から入って、派生した話をしたいと考えていた。今起こっている事と密教世界の橋渡しができるといいなと思った。
【ビデオ映像にCDジャケットが映る】
・ヒップホップのグループのCD。世界貿易センタービルがバック、今回のテロとちょうど同じところが爆発しているジャケットがあった。
満席の草月ホール
ナビゲーター松岡正剛さん |
ゲスト仏画師牧 宥恵さん |
◎スイングとブレとは違う。スイング→軸が決まっている ブレ→軸が決まっていない ・空海 本来「人間(には)できるんだ」ということも教えている
空海アーカイブ のデモ |
空海アーカイブ 空海の生涯から入る |
久米寺から大日経の図示へ |
◇事故の状況◇
- 僕、何年かに一度、必ずこういうひどい事故を起こす。5年前もバイクで事故。奇跡的に助かった。
今回も0.数秒の差で助かった。その前もそう。僕の事故の履歴、ひもといてみた。ルールを無視している時に起こる。今回もルール無視。銀座大通 り、ちょうど信号赤。東京では相当広い道、3車線つまっていた。すりぬけていけばなんとかなる? 1車線が右折用だった。そこに僕は飛び出していった。全 くその車見えなかった。
車を運転していたのは20代の若い人で、咄嗟にハンドルを切った。丁度車のサイドミラーがろっ骨に当たった。
当たったとき、う、マズイと思った。頭打たないように体まるめた。かなりの激痛走った。もうひとつ車きたらまずいなと思った。車に乗っている加害 者...僕も加害者のひとりだけど...おろおろしていた。「ここにいたらまずいから向こうに連れて行って」と指示。近くの慈恵医科大(?)夕方だったからイン ターンしかいなかった。
入ってきたインターン見た。看護婦のひとりが美人でそのインターンにやけていた。彼がまずいことやったら指示しなければならないと考えていた。 - 交通事故、人々集まってきた。「あぁ、カメラ...」。こういう人々の視線。彼岸の側から此岸を見る。人の視線驚いたなー。そういう人の視線、すごく 冷たく感じた。すごく冷たい目で見ている。何か...興味なんかな、喜んでいるわけじゃないけど、事故を見てわくわくしているのが伝わってくる。
- 世界貿易センタービルに飛行機が突っ込んだ。あの情景みて悲しんだ人間、テロの一瞬、ライブ映像でみて、心痛めた人、この世の中にどれくらいいたか。高揚感...僕も。(映像に)人が見えなかったのもあるけど、ビルと飛行機、クールなものがぶつかっている。
- (再びご自分の交通事故の話)人間の、1個の肉体がころがっている。どうなるかわからん(死ぬかもしれない状態)。そういうのをみつめる、同胞である人間の視線...一生忘れない。今の日本が全部でている。
- (何年かごとの)事故のたびに、「再生」しているな、と思う。死に直面するということ、肉体を傷つけたこと。
- 世界貿易センターに飛行機がぶつかる。「21世紀の人類のトラウマ」になると僕は感じた。
- 【舞台】<松岡正剛さん>
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・生の藤原君連れてこれなかった。こういう藤原君は僕もはじめて。彼の言葉や写真は、判じ物を越えている。
まるでイスラムの白衣をきているような彼の姿をみて、みなさん、何かを感じたと思う。
・私たちは壊れやすい。「フラジャイル」 そういう中で、人間、宗教、考える。
・「21世紀のトラウマが今回のテロだったら、20世紀のトラウマは?」 と最後に聞いてみた。 - 【ビデオ】<藤原新也さん>
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・20世紀の人類のトラウマ。1940年代の世界大戦。それを一番ひきうけたのは、ドイツと日本じゃないか。
・自衛隊の派遣、ナーバス。体験のよりもどし。身体感覚のない時代。妙なねじれがおきていく。
・日本にいると、身体を失うという危機感あまりない。たまたまこういう事故、再生したような気分。「日本だから」こういう意識が起きるのか? - <松岡正剛さん>
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・身体をきずつけられる→もうだめだ
・(この間事件がおきた)池田小学校、校舎すべて建てかえ。記憶なくそうとしている。
・密教 「即身」すなわち身体→忘れていることかもしれない。
・生身の藤原を連れてこれなかったこと、本当にごめんなさい。
【しばし下を向いて絶句→沈黙】
そのかわり、ちょっと変わったメッセージを伝えられたのではないかと思う。
2部は、炎太鼓と真言の声明のコラボレーション。
15分休憩
炎太鼓の響演 |
真言声明と和太鼓のセッション |
炎太鼓女性3名(池田美由紀さん、地下朱美さん、山本綾乃さん)
真言宗智山派僧侶(16人)の方々の声明とともに静かに始まる。
(理趣経)
声と音の静寂な響き |
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・大音響、無駄のない動き、肉体美。
- <松岡正剛さん>
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・炎太鼓 こういう世界もあるということ。池田さん、毎日毎日、お正月も打っている。
◎限界、「界を限る」、最初から無限は難しい。ひとつひとつ、界を限りながらのぼりつめていく。
・作曲は加藤和彦さん。
・いろいろなものが限りなく襞のように。普通は出逢えないものが寄り添った。 - 【最後、ゲスト全員舞台へあがる】
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<松岡さん>炎太鼓いかがでしたか?
<松長さん>いやぁ、エネルギーそのものですね。
懇親会 出演者にねぎらいの言葉 |
談笑のひととき |
加藤和彦さんを囲んで次の相談? |
文/小島祐子