ついで登場していただいた里中さんは人も知る女流マンガ家、最近はギリシャ神話まではばひろく書いておられますが、その里中さ
んもまた隠れた空海ファン。もともと高校生の時から『万葉集』やギリシャ神話など古代のものを描きたいと考えてきたのだそうですが、代表作といわれる『長
屋王』や『天上の虹』など、古来の神や自然を恐れる感性の世界に対し仏教は理性あるいは哲学として受け入れられた時代、その揺れ動く時代に生きた人たちの
いろんな姿を描いた作品がめだちます。
密教については、さっきの夢枕さんではありませんが、いのちという営みに対しておおらかさがある、まずは認めようとするところがあ
る、何でも来いというあまり肩肘はらずにすんなり入れる、と。空海は大天才だと思うけれど、天才というだけではなく気力と自分自身を奮い立たせる凄いエネ
ルギー、「気」の力があったのではないか、だから空海ゆかりの地というとその場所に空海の「気」がまだ残っていて、それをそこを訪れた人々が感じるので
は、とおっしゃられました。