ものみなすべて、いのちをもつという多神教的自然崇拝の思想は、森と共存してきた我々の祖先の縄文時代から、わが国固有の宗教意識として存在してきました。
特に古くから人々は野や水辺近くに棲み、水のもつ無限の生命力に畏敬し、一体化して生きるすべを心得ていました。
水だけでなく、大地も太陽も空気も大空も人間と同じ生命を持ち、互いに密接な関連を持ちながら、地球上の動植物を生かし、またそれによって生かされてい
るという密教の万物共存の世界観は、わが国固有の自然崇拝信仰と一致し、空海が生れる以前から密教にとって好ましい宗教風土ができ上がっていたといえるか
もしれません。
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